本棚

私は、自分が結婚するなんて、学生時代には想像もしていなかった。彼氏は欲しいと思っていたけれど、結婚には抵抗があった。


考え方も育った環境も違う他人と、四六時中一緒にいるなんて、共同生活が苦手な自分には無理だと思っていたから。


でも、結婚して気づいたことは、たとえ趣味や食べ物の好み、休日の過ごし方や起きる時間が違っても、お互いにその違いを受け入れることができれば、全く問題はないということ。


むしろ、その違いを楽しむくらいの余裕があれば、結婚生活は楽しめるんじゃないかと思う。


ちなみに、私が夫と自分の嗜好の違いを強く感じたのは、本棚を見たときだった。


私の本棚には、エッセイや自己啓発の本、料理初心者向けのレシピ本などが並んでいる。


一方、夫の本棚は物理や宇宙科学の本、あとは、最近筋トレにはまっているため、体づくりに関する本がほとんどで、きっと、本屋へ行ったとしても、決して私が手に取ることは無いだろうと思われるラインナップだ。


しかし、お金を出してまで欲しいとは思わないけれど、目の前にあると少し気になる。


なので、ときどき彼の本棚から本を拝借して、休日に読んだりもする。彼の本棚には、私の知らない世界が広がっていて、その世界を覗き見するのが、私の密かな楽しみになっている。